2009年08月30日
弥次喜多の宇治ミルク

京都では有名なお店で、阪急百貨店の裏を少し南に行ったあたりにある。初めて行く人にとっては分かりにくい場所にあるかもしれない。
提灯の「氷」という大きな文字にかぶさるように「しるこ」と書かれている。夏はかき氷、冬はしるこを出すのだ。同店のしるこを食べたことがないので、今年の冬にでもと思っている。
入店すると、二階に通された。窓が開いており、外の景色を見ながら氷を楽しめる。
「宇治氷」というお品書きが気になっていた。きちんと立てたお茶を氷にかけるという代物である。そのままだと苦いのだろうか?

待つことしばし。
出てきたのは鉢から溢れまくった大盛りのかき氷である。変にこぼれないように、慎重に食べた。
渋い味がする。とてもおいしい。シロップのお茶味とは異次元の味だ。
ミルクを入れたのは正解だったかもしれない。ただ、ミルクなしでも食べてみたくなった。思ったより苦味がない。
半分くらい食べ終わるころには、まるで抹茶を飲んでいるような気分になった。それほどお茶の味がしっかりしている。
食べ終わると、体が内側から涼しくなっていた。
日が落ちるのが早くなっているとはいえ、まだまだ冷たい物がおいしい日が続いている。
2009年08月28日
馬刺定食

同店の馬刺定食が大好きである。1200円と少々高めだが、たまに贅沢をして注文をする。
ほどほどの大きさのお皿の中に馬刺しが入っている。馬の赤身、そしてたてがみ(首筋のところにあるまったりした部分)を、好みでスライスされた玉ねぎやショウガ、青ねぎなどと一緒に醤油につけて食べる。
おもの里では定食を注文すると、小うどんがついてくるが、これを豚汁やみそ汁に変更できる。今日は豚汁にしてもらった。久しぶりにバランスの取れた、おいしい上質な食事をした午後だった。
2009年08月26日
北海ラーメン

以前から気になっていたが今回が初めてである。友達夫婦が「塩ラーメンおいしいよ」とすすめてくれたのだ。
「たまには、あっさりもいいかな」と先輩のカクさんが北海ラーメンの看板を見上げながらいう。頑固なまでにこってり好きなこの人が、あっさり味のラーメン屋に足を運ぶのは珍しい。
定休日が分からなかったのでおそるおそる行ったのだが、店内の貼り紙を見ると月曜日とのこと。
僕は塩チャーシューメン(800円)、カクさんは普通の塩ラーメンを注文した。
出てきたラーメンを見て、「きれいだな」という感想を持つ。スープが透き通っている。基本カラーが白い具材と麺が、いかにも塩ラーメンという感じで期待させてくれる。

おいしい。
やさしい。
「うん。うまい」とカクさんがボソッと言った。
無言で食べていると、カクさんが醤油を少しレンゲに垂らした。
まさか、と思っていたら案の定、塩ラーメンに醤油を入れてしまった。
「何やってんですか?」
「いや、醤油ラーメンにしてみようって」
またこの人は…。
「チャレンジ精神が旺盛で何よりです」
カクさんはズズズとラーメンをすすった。
「どうですか?」
「うん…」
数秒沈黙して、遠い目をしながら、溜め息をつく。
「塩ラーメンは、塩ラーメンとして食べるものだな」
カッコつけてるつもりなのだろうか。
「名言だろ」
「はっきりいって痛々しいです」
正直に述べた。ゆめゆめ塩ラーメンに醤油を入れることなかれ、である。
2009年08月25日
猫の苦労

僕は京都の街に生息する猫を携帯カメラで撮影して、ちょっとした猫アルバムを作っている。最近はどうも黒猫に縁があるようで、写真が黒々としてきた。そろそろ他の種類も撮りたい。
写真の猫は出町エリアを住み処とする子である。実に人懐っこくて、おいでおいでをするとチョコチョコとやって来る。かわいいとは思うのだが、もう少し人を疑えよとも思う。いつもお腹をなでながら、「それ猫としてどうなんよ?」と言うが、猫は聞いていない。
この黒猫は暑いからか、痩せてしまっている。ゲッソリ、という感じではないのだが、ちゃんと食べているかどうか心配だ。しかも、まだ若い(多分2歳くらい)のに、最近毛に白いものが混じりだした。
白髪である。
猫にも猫なりの苦労があるのだ。
2009年08月24日
亜喜英の純濃厚ラーメン

以前は昼の営業もされていたのだが、最近は夜だけの営業という日もある。時々昼に様子を見に行くのだが、空振りばかりが続く。そしてふらっと夜に一乗寺に行くと、行列ができている。亜喜英とはニアミスが続いた。そのたびに「亜喜英や、ああ亜喜英や、亜喜英や」と詠んだ(一乗寺界隈にはこのような詠み方ができる店として、珍遊、高安、鶴はし、そしてゆめかたこと夢を語れがある)。
しかし、最近同店のウェブサイトを見たら、「本日の営業」というコーナーがあり、そこに営業情報が掲載されているのが分かった。常連客は僕みたいに行き当たりばったりではなく、このサイトで確かめて行っているのだな。
今日は19時からの営業とのことだったので、開店時間に間に合うように行った。およそ一年ぶりの亜喜英である。19時丁度に到着したら、すでに満席だった。想像はしていた。幸い、待っている客は僕一人である。
僕はこの店の人、気遣い、味が好きだ。気持のよい接客、周辺住民への気配り、そして妥協なしの一杯。亜喜英を見ると、ラーメン店は総合力が大切なのだなと思う。おいしくても、気分の悪くなるような接客をする店もある。僕は一度、三条のとある有名店の店員が、丸めた雑誌でバイトの男の子を殴りながら怒鳴りつけるのを見たことがある。客の前でだ。それはないだろうと思った。
亜喜英でそんなイヤな思いをしたことは一度もない(そんなに頻繁には行っていないが・・・)。客は味だけに反応するわけではなく、トータルで判断を下す。この店が開店と同時に満席になるのは、味が良いからという理由だけではないのだろうと思う。
15分ほど待って中に入れてもらえた。純濃厚ラーメンの並(650円)を注文。
しっかりとした味わいで、しかも心地よい。コッテリだが、おかわりができそうである(あくまでもコッテリ好きの僕の感想)。
ペロリと完食した。ご馳走様でした。
亜喜英のご主人はブロガーでもある。ご自身のブログには、その日あったことに加え、様々な心情が綴られている。素敵な文章を書かれる方だと思う。これからも更新を楽しみにしています。
亜喜英のウェブサイト
http://akihide.main.jp/
2009年08月23日
ラーメン軍団の重厚つけ麺

ラーメン軍団というお店ができたという噂を聞いた時は、かなり興奮した。しかも激戦区の一乗寺。すぐ近くには天天有、新進亭、夢を語れがある。ただ、不定休ということだったので、当時他県で働いていた僕はなかなか行けずにいた。
一度、京都旅行のついでに寄ってみたのだが、残念ながら閉まっており、実際に同店のラーメンと対麺するのは後になってからだった(それでも開店された2007年からだったけど)。
今は京都に住んでいるので、サイトを通じてラーメンとの接し方について教えて下さった、ある意味で師匠的な存在のご主人のラーメンが楽しみでちょくちょくお邪魔している。僕は数ヶ月に1度くらいの客だが、開店された年から通っているので、同店のラーメンの味の変遷を知っているし、行くたびに密かに心の中で「石田さん、がんばれ」とエールを送っている。無表情だけど。
さて、それなりにラーメン軍団のことを知っていたつもりだったが、先日の昼に行ってぶたそばを食べていたら、後から入ってきた二人連れの一人がこんな注文をした。
「じゅうあつつけ麺」
一瞬箸が止まった。同店には「重厚つけ麺」というメニューがあるのだが、僕はいつも「じゅうこう」と注文していた。普通は「じゅうこう」だ。けれど食べ物屋さんの中には、ある漢字に世間の常識とは違う読み仮名をあてる店がある。もしかしてラーメン軍団もそうなのだろうか?もしそうなら、僕は今まで違う注文の仕方をしていたことになる。「ダセー。俺ダセー」とか思った。
ご主人は注文を聞いて「はーい」と応じられたので、僕はぶたそばのチャーシューをかじりながら「え?そうなの?そう読むの?」と内心焦っていた。それが2日前の話だ。
しかし今日、ラーメン軍団に行くと「じゅうこうつけ麺」と注文した客に対して、石田さんが「はい。じゅうこうつけ麺で」と応じていたので、僕は心の中で「ああ、やっぱりそうなんだ」と思いながら水を飲み、「ご注文はお決まりですか?」という問いに安心して「じゅうこうつけ麺」といえた。まあ「お客だった頃を忘れるな」を哲学とするご主人が、そんな妙ちくりんな読み方のメニューを作るわけがないのだ。
さて、重厚つけ麺は濃いダブルスープと太い麺がよく合う一品で、スープの中にはチャーシューと煮卵が入っている。濃く、深く、うまい。最後まで残さずいただいた。
割り汁はしてもらえないが、コッテリ味が好きな人は抵抗なく残ったスープを飲むことができるだろうと思う。ご馳走様でした。
2009年08月22日
ポツリと

「これサビサビだなぁ。走るのか?」
先輩のカクさんが、駐輪してある一台の自転車を指して笑った。確かに気の毒なほどサビサビだ。
「俺、一度チャリを撤去されたことがあるんだよ」
カクさんが言う。
「お前あるか?」
「ありますよ。何年か前、京阪三条駅にあるブックオフで買い物をしていたら、ほんの10分止めてただけなのにやられました」
そんなこと頼んでねーよ、と思わず口に出して言ってしまったのを覚えている。歩行者に気を遣って、頑張って人通りの少ないところに停めた分、余計に悔しかった。
頭くるよなー、とカクさんがだるそうに言う。
「取りに行ったのか?」
「いえ。ボロいチャリでしたし、2000円払わなきゃなんないし」
「こっちが払って欲しいよな」
「そうですね。しかも、場所も遠いですしね。電車で行っても、帰り自転車。そんなに長距離は移動したくないですよ」
小説家の森見登美彦のデビュー作、『太陽の塔』は京都を舞台にした物語である。作中には主人公が、自分の愛車(まなみ号という)が撤去されるたびに保管場所まで行き、2000円を支払って取り戻す様子が描かれているが、僕はそこまでチャリに愛着を持てない。
しかし、他人の行動によってもたらされた損失はとても腹立たしいものである。これは愛着とは関係ない。
この話題はムカつくので、何か他の話題を探そうとしていると、カクさんがポツリと言った。
「上桂って、ひらがなにすると何かヤだよな」
凄い話題の転換である。
かみかつら、か・・・。
くだらないけど、確かにそうだと思った。
2009年08月20日
猫の避暑

8月だから仕方がないが、それでも暑いもんは暑い。
外を歩きたくない。
でも、そうも言っていられない。
なるべく涼しげな道を探して歩く。
今出川にある相国寺には緑が多く、日陰になっている箇所もあるので、気分だけでも清涼感を楽しむことができる。
それにしても暑い。
扇子を出して顔を煽ぐ。
一部の通行人にジロジロと見られた。やはりポロシャツと扇子はあまり合わないのか。
汗が噴き出る。扇子があまり役に立っていないようなのでしまう。
しばらく歩いていると、面白い光景に遭遇した。

尻尾だけ出して・・・。
頭隠して、尻隠さず。
石灯籠の中の空間がちょうど良い大きさのスペースなので、落ち着けるのだろうか。
実家で飼っていた猫も、しょっちゅう尻尾だけ出して棚の下とかに隠れていた。
これが猫なりの避暑なのだろう。
しばらく見ていると、こちらに気づいて振り返り、僕の顔をジッと見つめてきた。
「ここは譲ってやんないぞ」と主張しているらしかったので、立ち去ることにした。
しばらく歩いたところにある自動販売機でサイダーを買おうとしたら、お金だけ取られて商品が出てこなかった。管理しているお店に電話をしたら、面倒くさそうな声をした男の人が出た。事情を説明したら「じゃあ、出るから待ってて」と言われ、しばらくすると面倒くさそうな顔をした中年男性がやって来た。
彼がお金を入れてボタンを押すと、嘘のようにサイダーが出てきた。
ゴトンという音が妙に鮮明に響いた。
男性に手渡されたサイダーを持って、僕はそこから歩き去った。
2009年08月19日
「あの」ハンバーガー
僕はハンバーガーが大好きなのだが、あまり食べない。
食べたくなったら、たいていの場合ファーストフード店に行っていた。
たまにチェーン店は消費者を期待させる。とてつもなくデカイ、いわゆるアメリカンサイズなやつを期間限定で出しますよと、写真でアピールするのだ。
僕は単細胞なので、それにコロッとひっかかってしまい、いつもより上乗せした金額を出して「アメリカンサイズ」なやつを注文するのだが、出てきたものを見てがっかりする。
「えー。いつもとそんなに変わらないじゃん」と。写真に偽りありの時がほとんどだ。ダブルバーガーにして、一枚余計にパテを追加したことが虚しさに拍車をかけちゃったりする。加工牛に「モフフフ」と笑われているような被害妄想にとらわれる。そして僕は毎回、拳を握りしめ鴨川を見つめ、水の流れに向かって問うのである。「正直者がバカを見る世の中でいいのでせうか」と。あまり食べないものだから、余計に敗北感が強い。
しかし、丸太町にあるグリルデミのハンバーガーは、「あの」ハンバーガーなのである。「あの」とは、チェーン店とかがメニューの写真に使う、肉厚なドでかいバーガーなのである。それはまさしく、全人類に共通するハンバーガーのクオリアを具現化させたような一品だ。
ハンバーグ屋さんのハンバーガーである。肉にこだわり、ソースにこだわり、そして専門外のバンズにもこだわり、ついでといっちゃ何だが時々出し方にもこだわり、あらゆる要素に関してこだわりつくしたスゴイやつなのである。
通常は挟まれているバーガーは1個だが、なんとこれ、ダブルバーガーにもできる。なので僕は毎回調子に乗って「ダブルで」と注文する。
ダブルになると、どうやって攻略しようかと思うくらいでかい。食べるではなく、攻略である。こんな時には食事って頭を使う時があるんだなと実感する。他のところであまり使っていないので、なかなか良い知恵が浮かばない。するとあとはもう本能に従いガツガツとほふる道を辿るので、結局は僕の本質なんかそんなものなのだなと、食べた後に口の周りに付いた特製ソースを拭きながら考える。
ついでに、ハマッたら確実に腹が出るから当分は我慢だぞと自分に言い聞かせる。だから結局、ハンバーガーをあまり食べないという人生戦略になってしまい、「まあそんなもんだよな」とテキトーな自己完結をしてしまうのである。
*****************************************************************************************
グリルデミ
住所:京都市中京区両替町夷川通り室町東入る巴町80番地 パルマビル1F
電話:075-211-7661
時間: 昼11:30~15:00 夜17:00~22:00(月曜定休)
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食べたくなったら、たいていの場合ファーストフード店に行っていた。
たまにチェーン店は消費者を期待させる。とてつもなくデカイ、いわゆるアメリカンサイズなやつを期間限定で出しますよと、写真でアピールするのだ。
僕は単細胞なので、それにコロッとひっかかってしまい、いつもより上乗せした金額を出して「アメリカンサイズ」なやつを注文するのだが、出てきたものを見てがっかりする。
「えー。いつもとそんなに変わらないじゃん」と。写真に偽りありの時がほとんどだ。ダブルバーガーにして、一枚余計にパテを追加したことが虚しさに拍車をかけちゃったりする。加工牛に「モフフフ」と笑われているような被害妄想にとらわれる。そして僕は毎回、拳を握りしめ鴨川を見つめ、水の流れに向かって問うのである。「正直者がバカを見る世の中でいいのでせうか」と。あまり食べないものだから、余計に敗北感が強い。

ハンバーグ屋さんのハンバーガーである。肉にこだわり、ソースにこだわり、そして専門外のバンズにもこだわり、ついでといっちゃ何だが時々出し方にもこだわり、あらゆる要素に関してこだわりつくしたスゴイやつなのである。
通常は挟まれているバーガーは1個だが、なんとこれ、ダブルバーガーにもできる。なので僕は毎回調子に乗って「ダブルで」と注文する。
ダブルになると、どうやって攻略しようかと思うくらいでかい。食べるではなく、攻略である。こんな時には食事って頭を使う時があるんだなと実感する。他のところであまり使っていないので、なかなか良い知恵が浮かばない。するとあとはもう本能に従いガツガツとほふる道を辿るので、結局は僕の本質なんかそんなものなのだなと、食べた後に口の周りに付いた特製ソースを拭きながら考える。
ついでに、ハマッたら確実に腹が出るから当分は我慢だぞと自分に言い聞かせる。だから結局、ハンバーガーをあまり食べないという人生戦略になってしまい、「まあそんなもんだよな」とテキトーな自己完結をしてしまうのである。
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グリルデミ
住所:京都市中京区両替町夷川通り室町東入る巴町80番地 パルマビル1F
電話:075-211-7661
時間: 昼11:30~15:00 夜17:00~22:00(月曜定休)
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2009年08月18日
紫蔵

叡山電鉄の茶山駅が最寄の駅。高原通りに出て少しだけ北に行くと目指す紫蔵である。水曜が定休らしいので、火曜日の今日を逃すと行くチャンスが一日遅れになってしまう。僕はあるところから頑張って歩いて行くことにした。ラーメンと健康という人生の2大テーマを追い求めると、やはり徒歩になってしまう。
ラーメン屋、というよりはお洒落な寿司屋といった趣の店である。
1時過ぎに到着。幸い並ばずに入れた。
こじんまりとした店内をのぞくと、とてもきれいに掃除が行き届いている感じで、好感が持てた。ラーメン店の中にはおいしいくても清潔さに無頓着なところがある。そのような中で、紫蔵は際立って美しい店である。

後乗せ型とは珍しい。
観察をするのも楽しいラーメンである。「へえ、この店はノリをこういう風に配置するのか」とか。
スープの濃さ、麺の固さ、脂の多さを決めることができる。スープはいつものクセで濃い目を頼み、少し自分の好みよりもしょっぱくなってしまったが、おいしかった。次に行く時は普通にしよう。太い麺とよく合う。これは固めで正解だった。50円増しで白ネギをつければ良かったかもしれない、などと隣の人の注文を見ながら思った。
チャーシューもいい味だった。よく行くラーメン屋台のチャーシューと似ている。僕はこのタイプの焼豚が好みである。一気に全部入れずに、ドンブリの中身と相談しながら一枚ずつ投入した。
おいしく、清潔で、接客もいい。メニューはラーメン以外にはビールくらいで、余計な物がないところもかっこいいと思った。自信を持って人にすすめられるラーメン店である。
2009年08月16日
男道場
大文字焼きを見た後に少し腹が減ったので、ラーメンを食べに一乗寺に向かった。
夢を語れには電気がついていたものの、営業していない様子。鶴はしは点灯看板が出ておらず、どうも休みっぽい。天天有の前には長い列がある。あきひでの前にも順番待ちの人が…。

で、あきひでから少し東に行くと、最近できた男道場という店の大きな提灯が赤く光っていた。今宵はここにしよう。
店の前のベンチには男子学生風の4人グループが座っていたが、外から見ると店内の席にはかなり空きがあるようだった。
このグループは並んでいるのだろうか?それとも既に食べ終わっていて、中にいる誰かが出てくるのを待っているのだろうか?
「お兄さん方は並んではるの?」と一番近くにいるバスケのユニフォーム風のカッコをした兄ちゃんにエセ京都弁で聞いてみた。
「はい。あ、でも一人なら行けると思います…」
「微妙だけど行けそうだよな」と別の一人も参加した。
そんな風に、親切な方々に順番を譲ってもらったのだ。えらいすんません。「お先に」と店の扉を開ける。すると店長らしいガタイのいい人が「あ、すんません、外に4人さんが待ってはるんで…」と言うので、「先に入れてもらったんです」と事情を話した。それならどうぞと、厨房に背を向けて座る席の端っこに案内された。
目の前には「初段」だとか「師範代」だとか書かれた、段位表がある。柔道の道場みたいだ。ラーメンを食べるとお札がもらえて、その枚数により段が決まるらしい。
BGMには長渕剛や気志団の歌がかかっていて、この店の目指す方向性を一層理解しやすくしていた。
色々なラーメン系のブログを読んでいたら、ここは昼間はすごく威勢のいい接客で、ラーメンが出てくるまでは水菜キムチをサービスしてくれるらしい。あと、ラーメンを食べている間に「男気注入(すりゴマ)」というイベントもあるとか。
まるである種のアトラクションのような、体験型ラーメン店だ。
チャーシュー多目のものが食べたかったので、焼豚らーめん(750)を注文した。
麺の固さ、ネギの多さ、脂の量を好みで調節できる。ネギ多目にしたら、小皿に入れて持って来てくれた。
しかし、夜だから品切だったのか、水菜キムチは出してもらえなかった。あと、基本の〈男気らーめん〉を注文しなかったためか、あるいは店の人が忙しかったからか、男気注入イベントもなかった。残念だ。
こういう〈イベント体験型ラーメン店〉で、イベントがなかったり不発に終わったりするのは今回が初めてではない。
何年か前に、丸太町知恵光院にある、めん馬鹿一代という店に行った。このラーメン屋のウリはネギラーメンである。少々危険なので、カウンターでしか食べられない。ネギたっぷりのラーメンに熱々の油をかけて、どんぶりから火柱を上げるのだ。テレビの取材もあり、人気の一品である。
しかし、その日は油が足りなかったのか、火柱どころか弱火も上がらず、ジュワ〜という音とともに煙だけがモウモウと天井に上がって消えた。
一緒に行った友人は「あれ?不発?」と言ったが、店員はさも煙しか出ないのが当たり前みたいな顔をして、そそくさと厨房に戻った。正直「それはないだろう」と思ったものだ。それでしっかりと1000円近く取られた。苦い思い出だ。
それはさて置き、男道場のラーメンは想像より遥かにアッサリしていた。つい名前から、天下一品×30くらいのコッテリ度を予想していただけに意表をつかれたが、なかなか美味しいラーメンだった。
次は昼に来て、本当の男道場的体験をしたいものだ。そういえば、お札ももらえなかった。男気が足りなかったのかな…。
夢を語れには電気がついていたものの、営業していない様子。鶴はしは点灯看板が出ておらず、どうも休みっぽい。天天有の前には長い列がある。あきひでの前にも順番待ちの人が…。

で、あきひでから少し東に行くと、最近できた男道場という店の大きな提灯が赤く光っていた。今宵はここにしよう。
店の前のベンチには男子学生風の4人グループが座っていたが、外から見ると店内の席にはかなり空きがあるようだった。
このグループは並んでいるのだろうか?それとも既に食べ終わっていて、中にいる誰かが出てくるのを待っているのだろうか?
「お兄さん方は並んではるの?」と一番近くにいるバスケのユニフォーム風のカッコをした兄ちゃんにエセ京都弁で聞いてみた。
「はい。あ、でも一人なら行けると思います…」
「微妙だけど行けそうだよな」と別の一人も参加した。
そんな風に、親切な方々に順番を譲ってもらったのだ。えらいすんません。「お先に」と店の扉を開ける。すると店長らしいガタイのいい人が「あ、すんません、外に4人さんが待ってはるんで…」と言うので、「先に入れてもらったんです」と事情を話した。それならどうぞと、厨房に背を向けて座る席の端っこに案内された。
目の前には「初段」だとか「師範代」だとか書かれた、段位表がある。柔道の道場みたいだ。ラーメンを食べるとお札がもらえて、その枚数により段が決まるらしい。
BGMには長渕剛や気志団の歌がかかっていて、この店の目指す方向性を一層理解しやすくしていた。
色々なラーメン系のブログを読んでいたら、ここは昼間はすごく威勢のいい接客で、ラーメンが出てくるまでは水菜キムチをサービスしてくれるらしい。あと、ラーメンを食べている間に「男気注入(すりゴマ)」というイベントもあるとか。
まるである種のアトラクションのような、体験型ラーメン店だ。
チャーシュー多目のものが食べたかったので、焼豚らーめん(750)を注文した。

しかし、夜だから品切だったのか、水菜キムチは出してもらえなかった。あと、基本の〈男気らーめん〉を注文しなかったためか、あるいは店の人が忙しかったからか、男気注入イベントもなかった。残念だ。
こういう〈イベント体験型ラーメン店〉で、イベントがなかったり不発に終わったりするのは今回が初めてではない。
何年か前に、丸太町知恵光院にある、めん馬鹿一代という店に行った。このラーメン屋のウリはネギラーメンである。少々危険なので、カウンターでしか食べられない。ネギたっぷりのラーメンに熱々の油をかけて、どんぶりから火柱を上げるのだ。テレビの取材もあり、人気の一品である。
しかし、その日は油が足りなかったのか、火柱どころか弱火も上がらず、ジュワ〜という音とともに煙だけがモウモウと天井に上がって消えた。
一緒に行った友人は「あれ?不発?」と言ったが、店員はさも煙しか出ないのが当たり前みたいな顔をして、そそくさと厨房に戻った。正直「それはないだろう」と思ったものだ。それでしっかりと1000円近く取られた。苦い思い出だ。
それはさて置き、男道場のラーメンは想像より遥かにアッサリしていた。つい名前から、天下一品×30くらいのコッテリ度を予想していただけに意表をつかれたが、なかなか美味しいラーメンだった。
次は昼に来て、本当の男道場的体験をしたいものだ。そういえば、お札ももらえなかった。男気が足りなかったのかな…。
2009年08月16日
大文字

安い部屋で不便も多いが、これを見ることができるので契約を決意したのだ。
こういう文化的オマケは魅力的である。
前は他の送り火も見れたのだが、新しい建物ができて見れなくなった。残念なことだ。
2009年08月15日
公園花火

三条商店街を堀川から西に進んでいくと、三条大宮公園がある。
昨日は〈がんばれお好み焼き、負けるな焼きそば〉という独特なネーミングセンスが光る店で少し飲んで、公園で花火を楽しんだ。
巡回中のおまわりさんが、「あまり大きなやつとか、ロケット花火とかはしないでね〜」と言ってきた。
花火と警官。夏の思い出である。
もちろん、ちゃんと片付けて帰った。
2009年08月13日
京都のタダ飯

先輩のカクさんがラーメン日本一の赤い提灯を指しながら言った。
数日前に来た時は夏休みだったので、泣く泣く来た道を戻ったのだ。同店は堀川北山にある。郵便局の向いで、分かりやすい。
そして僕らは数日前、チャリをこいで出町柳からはるばる参上したのであった。店が休んだくらいで大の男2人が泣いてしまうのも、まあ理解できなくはない距離であろうというものだ。
「嬉しいっす。俺、嬉しいっす」
「バカヤロー。おめぇ、泣くな。くっ・・・俺まで涙が・・・」
などと、少々キモいやり取りをして店の扉を開ける。
2人とも成人式に行かなかったから、こんな風になってしまったのだろうか・・・。

ド根性ラーメンを20分で2杯完食したら無料、40分で3杯完食すれば店での飲食が永久にタダだという。もちろん、しくじったら実費を払わなくてはならない。
(前までは950円だったのだが、最近1000円になったようだ。それから、夜中の3時までの営業だったのに、深夜0時までに変わっていた。定休日は月曜である。)
店の壁には、これに挑んで見事に勝利したツワモノたちの名前が、栄光とともに刻まれている。
それを眺めながらカクさんが言った。
「京都ってさ、条件さえクリアすりゃタダ飯が食える店がいくつかあるよな」
「そうですね。思いつく範囲だとこの店、それから王将の出町柳店・・・」
王将の方はフードファイトではなく、皿洗いをするとご飯を食べさせてくれるのである。
「お前、皿洗ったことある?」
「いえ、一度も。カクさんは?」
「俺もない」
意外だった。
「やってるヤツ見たことあるか?」
「前にテレビで。生ではないですね」
「あれ、いつかやろうって思ってたけど、なんか思いきれねーんだよなぁ」
「ですよね。あと他に、タダ飯ってどこかあります?」
「うーん・・・唐子の食い逃げメニューとか」
この食い逃げメニューというのは、東大路二条あたりにある有名ラーメン店の唐子で出しているものだ。カウンターの上に野菜炒めとか、マーボー豆腐とか、とりあえずその日の店の人の気分で作ったおかずを乗せていて、小皿に取って食べるシステムである。これが無料なのだ。初めて見た時、京都府知事は唐子を表彰すべきだと思った。今でもそう思う。もちろん、これだけを食べさせてくれるわけではないが、タダ飯にカウントしておこう。
「じゃあ、くらまもそうですよ」
くらまは唐子ラーメンの店員さんだった人がやっているラーメン屋さんだ。千本鞍馬口にある。接客もよく、味もおいしい。システムは唐子と似ている。だから食い逃げメニューもある。
そんな話をしているとド根性ラーメンが来た。
やはりいつ食っても迫力がある。
「お前、ここのフードファイト、挑戦したことある?」
「いや、ないです。無理です」
僕は1杯に15分かかる。
「だよな。食えたやつ、すげーよな。しかも飲食が永久無料だろ?」
「ビールもですかね?」
「そうじゃね?俺も保険としてやっとこうかな」
「何の保険ですか?」
「仕事がなくなって、食うものに困った時のためだよ。いざその時になって金がなくて、いっちょ日本一の3杯完食に挑戦するかってなっても、もし失敗したら実費だろ」
「そうですね」
「その時は実費払えねえ状況だから、それはリスクがありすぎるだろ」
「はあ、まあ」
何だか不景気な話だ。
「だから余裕があるうちに、飲み食い永久無料権を獲得しなくちゃいけないんだよ」
お前も金のあるうちにやっとけ、とカクさんはチャーシューを箸でつまみながら言った。
2009年08月12日
少年と犬

車はもちろん、自転車も禁止。犬はOK。だから散歩をしている人や、犬連れの人が利用している。ベンチも設置されていて、一休みできる。
休憩していると目の前を姉弟らしい子供が横切った。弟はしきりに後ろを気にしている。
何だろう、と見てみると、女性が柴犬を散歩させていた。
どうも弟くんは犬が苦手なようで、後ろのご一行を先に歩かせようという魂胆らしかった。
怖くないよ、と姉がいうけど、弟は「いやや」という。二人は一方の端で犬をやりすごそうとしている。僕は反対側の端のベンチで見守る。
女性と犬が来る。四本足の軽快な足取り、好奇心剥き出しの首ふり、小柄な体、しゅっとした口。
ペスという名前が似合うので、勝手にそう呼ぶことにした。
ペスは姉弟の前で止まった。弟くんはびくついている。
「バウ」とペスが吠える。
「うぉ」と少年がいう。
「これこれ」と飼い主の女性が柴犬をたしなめる。
一人と一匹のつれあいは、そのまま去っていった。
弟くんは「目を合わせたからや」と小さな反省をしていた。
僕は犬の脳天気な尻を見て、「ペスのくせに」と思った。
2009年08月11日
有名人を目撃後、ラーメン屋に行く

雨雲は「ほーら、降るぞ、降るぞ」と、まるでじらすかのようにモクモクとしていた。多分Sなんだろう。
仕方なく傘を持って出かけたが、今日は一度も世話にならなかった。
京都駅近くにあるアバンティ・ブックセンターに行ったら、エレベーターを降りたところに姜尚中氏がいた。東京大学大学院の教授で、政治学の専門家である。一般向けの本もあるし、テレビ出演も多い人なので、結構有名だ。
サイン会をしていたらしい。急いでいたので一瞬しか見なかったが、外見も声もテレビと一緒だったので、すぐに「あ。あの人だ」と分かった。

欲しかった本を購入し、地下一階にある京都百年屋というラーメン店に行った。かなり前から知っているところだが、入るのは初めてである。
白い提灯がお洒落だと思う。
メニューを見ると、セットだとかつけ麺だとか色々とあって、充実している。
見本もおいしそうに見えた。

以前、一乗寺にある鶴はしというラーメン屋で、チャーシューメンの大盛りを食べた。でもちょっと足りないと思い、気になっていた豚骨ラーメンを注文した。同店の鴨をベースにしたスープがあっさりしていたので、豚骨もそうなのだろうという先入観があったのだが、出てきたものは何ともしっかりしたお味だった。残さず食べて、苦しくなってしまった。
豚骨スープはコッテリに見えるが、案外あっさりしていた。マー油も味を邪魔していない。たまに焦げ臭くて変な個性を発揮している場合があるので少し心配していたのだ。
チャーシューも分厚くて、しっかりと肉を食べている気になれた。
嬉しいのはキムチの無料サービスだ。注文してから待っている間や、箸休めなんかにいい。
今回の「無意味なあえて」行動は引き分けくらいである。おいしかったのだが、食べながら「名古屋コーチン気になるなぁ・・・ああ、気になる、気になる」と思ってしまったからだ。自業自得。

「あー、チクショー、腹減ったなー」とぼやいてしまった。
僕は腹が痛くても空腹感に襲われるタイプの人間なのだが、そんな時は「痛いから我慢だ。ちょうど飲みも続いていたことだし、ダイエットだと思えばいいじゃないか」とかなんとか、前向きに考える。でも体調が良くなったら、せっかくの腹痛もどこかに行ってしまい、後にはすきっ腹だけが残った。
「そして、すきっ腹だけが残った。小説のタイトルみたいだ」とかなんとか、誤魔化そうとしたが、腹の虫は大きな声で自己主張をはじめた。蝉の大合唱の方がマシだ。
遅い時間で、もう普通の店は閉まっている。だからちょっと遠出して、北白川にあるラーメン屋のあかつきに行った。2軒目のラーメン。ハシゴ麺は久しぶりだ。あかつきは、午前3時まで営業している。ありがたい存在である。

チャーシューメンの大(750円)を注文。麺を固めにしてもらい、ネギも多めに入れてもらう。
醤油味のスープ、麺、そして具のバランスがいいラーメンだと思う。少し一味をかけてピリ辛にした。
味もいいが、この店は接客もいい。値段も良心的だ。だからちょっと遠くても行こうという気分になる。
そして食べ終わってからは「来てよかった」と思えるような店である。ずっとこんな風だと嬉しい。
2009年08月09日
2009年08月08日
あじと

飲み日記の続きである。
しめのラーメンというのは魅力的な選択肢だった。久しぶりに三条のあじとに行くことにした。
のれんをくぐると、いつもの大将ではなく、違うお兄さんがいた。店員を雇ったのかなと思ったら、この人が新しい大将なのだという。「世間はめまぐるしく変化している」という大げさな言葉が、なぜか頭をよぎった。ビールを冷蔵庫から取ろうとしたら、「そっちじゃなくてこっちなんです」と違う冷蔵庫を指された。めまぐるしい変化・・・。
ここでうっかり瓶ビールを飲んでしまったので、ひどい二日酔いになってしまったのだろう。どういうわけかあじとは飲みたくなるラーメン屋だ。

普通に食べてもおいしいラーメンだが、飲んだ後もうまいラーメンである。
あじとができて、飲んだ後の楽しみが三条に増えた。ここは以前ラーメン・トップという店だった。2回ほど食べたことがある。あじとの先代ご主人がやっていた。名前を変えての営業というわけだが、いい店名だと思う。
「あじと寄らない?」
「ちょっとあじとに行ってくる」
「彼をあじとで見かけた」
何かいい響き。僕はこういうのが大好きだ。

酔った勢いで、あじとの新しい大将にお願いしてみた。
「ブログ書いてるんですけど、もしよかったら写真を撮らせてくれませんか?」
「いいですよ」と快諾してくれた。
「じゃあ、仕事をしている恰好を」と調子に乗って頼んでしまった。それがこの写真である。わざわざ鍋に向かってくれた。
変な客の変な頼みを聞いて下さり、ありがとうございました。
2009年08月08日
男は飲んだ後、あじとに向かった
「ええ天気過ぎるやろ・・・」
部屋のドアを開けて思わず関西弁でつぶやいてしまった。この日光は二日酔いの体にこたえる。
昨日はひとつ大きな仕事が片付いて、久しぶりに外で飲んでいた。しかもハシゴ酒である。

一軒目は元田中にあるタコス屋のタケリア・パチャンガ。ここは平日の2時から6時まで、ビールが390円なのだ。この時間帯をハッピーアワーという。まことにハッピーなネーミングである。
僕のお気に入りはブラジル風ソーセージ。大きくて食べごたえがあり、とてもおいしい。
これをアテに、ライム入りコロナをちびちびと飲んだ。僕の大好きな時間である。パチャンガに行くといつもこのソーセージの大を注文する。4本で1000円。良心的だと思う。
そういえば、僕はこの店をずっと「ラテン酒場」と呼んでいた。ここに来る時はたいてい飲んで帰るからだが、正確にはタコス屋さんなのである。タコライスもおいしい。
二軒目は四条大宮にある立ち飲み居酒屋てらに行った。僕はこの店が大好きでよく利用している。安くてうまい、素晴らしい居酒屋である。
毎週行っていたのだが、ここ最近忙しくて、実に3週間ぶりだった。ご主人のてらさんが「お久しぶりですね」と言ってくれた。
てらさんはパパイヤ鈴木に似ている。髪型はもじゃもじゃではないけど。
僕はテレビを持っていないので、ニュースとかはこの店で見ている。酒井法子がいつの間にか容疑者になっていた。2009年は大きな出来事が立て続けに起きている。GMの経営破綻、KJ法の考案者である川喜田二郎先生の死、そして容疑者・酒井法子・・・。まだ30代だったとは。意外と若いんだなと思った。
3軒目は五条にあるシェリーバーKAOに行った。ここで飲むのは久々である。KAOは日によって店の人が違う。僕は日曜の客だったので金曜はどんな人がやっているのかとちょっとビビりながら店のドアを開けた。
いつも飲んでいるドン・ホセとコントラバディスタを注文した。二杯目にさしかかって急に眠くなり、ウトウトしながらシェリーを飲んだ。KAOの椅子は座り心地がいいのか、たまに寝てしまう。お店の人(カメラマンなのだそうだ)に寝ながら飲む姿を笑われてしまった。お恥ずかしい。
KAOでは下向きTHEダイヤモンドというフリーペーパーを読むのが楽しみのひとつだった。しかし、なんと休刊するのだという。ショックである。2009年は色々な出来事が起きている。オバマ大統領の誕生、容疑者・酒井法子、そして下向きTHEダイヤモンドの休刊・・・。早く復活してほしい。
部屋のドアを開けて思わず関西弁でつぶやいてしまった。この日光は二日酔いの体にこたえる。
昨日はひとつ大きな仕事が片付いて、久しぶりに外で飲んでいた。しかもハシゴ酒である。

一軒目は元田中にあるタコス屋のタケリア・パチャンガ。ここは平日の2時から6時まで、ビールが390円なのだ。この時間帯をハッピーアワーという。まことにハッピーなネーミングである。
僕のお気に入りはブラジル風ソーセージ。大きくて食べごたえがあり、とてもおいしい。
これをアテに、ライム入りコロナをちびちびと飲んだ。僕の大好きな時間である。パチャンガに行くといつもこのソーセージの大を注文する。4本で1000円。良心的だと思う。
そういえば、僕はこの店をずっと「ラテン酒場」と呼んでいた。ここに来る時はたいてい飲んで帰るからだが、正確にはタコス屋さんなのである。タコライスもおいしい。

毎週行っていたのだが、ここ最近忙しくて、実に3週間ぶりだった。ご主人のてらさんが「お久しぶりですね」と言ってくれた。
てらさんはパパイヤ鈴木に似ている。髪型はもじゃもじゃではないけど。
僕はテレビを持っていないので、ニュースとかはこの店で見ている。酒井法子がいつの間にか容疑者になっていた。2009年は大きな出来事が立て続けに起きている。GMの経営破綻、KJ法の考案者である川喜田二郎先生の死、そして容疑者・酒井法子・・・。まだ30代だったとは。意外と若いんだなと思った。
3軒目は五条にあるシェリーバーKAOに行った。ここで飲むのは久々である。KAOは日によって店の人が違う。僕は日曜の客だったので金曜はどんな人がやっているのかとちょっとビビりながら店のドアを開けた。
いつも飲んでいるドン・ホセとコントラバディスタを注文した。二杯目にさしかかって急に眠くなり、ウトウトしながらシェリーを飲んだ。KAOの椅子は座り心地がいいのか、たまに寝てしまう。お店の人(カメラマンなのだそうだ)に寝ながら飲む姿を笑われてしまった。お恥ずかしい。
KAOでは下向きTHEダイヤモンドというフリーペーパーを読むのが楽しみのひとつだった。しかし、なんと休刊するのだという。ショックである。2009年は色々な出来事が起きている。オバマ大統領の誕生、容疑者・酒井法子、そして下向きTHEダイヤモンドの休刊・・・。早く復活してほしい。
2009年08月07日
グリルデミの裏メニュー
グリルデミは夷川通りにある洋食屋である。地下鉄丸太町駅の6番出口から歩いてすぐに行ける。
同店はハンバーグとデミグラスソースが人気のメニュー・・・と世間では通っているらしいが、それはあくまでも表向きの話。裏では他にも色々なメニューを手広く提供している。
例えば試しに「秀吉定食」と注文してみると、ひょうたん型のけったいな重箱が「へい、おまち」の掛け声とともに出てくる。

ひょうたんはその昔、豊臣秀吉の馬印だった。
しかし、よくこんな形の重箱を見つけたな・・・。
中身は秘密である。
マスターの井本順久氏には<いもいも>とか、<よりさん>とか、<ヨリエモン>とか、とにかく色々なアダ名があって、どう呼ばれても「はいよ」とええ感じの返事をする。そんな彼は自称、<織田信長研究家>だ。今はどうか知らないけど、少なくとも昔は名刺の肩書にそう書いてあった。
にも関わらず、近頃は秀吉に浮気している。
ってことだろう?この明らかな物証は・・・。
それはさて置き、ハンバーグとデミグラスソースをうりにしているこの店は、実は以前とびっきりうまいカレーライスも出していた。あまりにもおいしくて、僕は1日に2回も食べたことがあるほどだ。昼と夜の2連チャンである。
そんな風にひいきにしていたメニューなのに、ある日カレーはグリルデミのメニューからひっそりと消え去った。僕はヨリエモンに問うた。
「ねえ、カレーは?」
すると彼は「リストラした」と言った。
「何でそんなことすんだよー」
すると彼は「手間かけた割に、全然出ないんだもん」と言った。
「僕はしょっちゅう食べてるよ?」
すると彼は「うん。君と、もう一人だけ京都大学の院生が注文してくれてたんだけど、2人だけしか食べてくれないもんだからさ・・・。あれ仕込みに4時間もかかるんだよ」
「もうスタメンには戻らないの?」
すると彼は「もう戻らない」とボソッと言った。
かなり落ち込んだ。あんなにおいしいカレーをかくも簡単にリストラするなんて・・・。
「簡単にはリストラしてないよ。やつには3年間チャンスを与えたんだ。なのに結果を出さなかったから、仕方ないべ」
そんな大人の話なんか聞きたくない。
いや、自分もいい大人だけど、それでも聞きたくない。
僕はあがいた。
「ねえ、数日前から注文して500円多めに払ったら食べさせてくれる?」
「え、そこまでして食べたいの?なら似たようなやつ作ってあげるよ」
「似たようなやつ?ニセカレーかよ」
「ニセっていうか・・・カレーもどき。近い味は出せるよ」
そんな会話をしてだいたい1週間が経過した。最初は「もどきかぁ」と思っていた僕だが、その存在が空想の中でどんどん大きくなるのを止めることができなくなり、ついに負けた。
僕はヨリエモンにメールをした。
「もどき、食わして」
するとすぐに「了解」って返事が来たので、僕はグリルデミに向かった。
閉店30分前に着いた。
「今日は忙しかったよ」とヨリエモンが言った。
忙しいのはいいことだ。
思ったよりすぐにカレーもどきが出てきた。

いや、もどきすごいよ。卵もオプションでついてきた。
一口食べる。
あ、おいしい。確かにコクは劣るかもしれないけど、すごくおいしい。
「それでも40分は煮込んでる」
もどきでも、それなりに手間がかかってるんだ。素晴らしい。
そこそこ量があったのに、味が良かったのであっという間に完食してしまった。表メニューもおいしいけど、裏メニューもおいしい。
裏メニューといえば、気になる話を聞いた。もう一人のカレーの客だった京都大学の院生がこの前やって来て、開店以来の常連である僕ですら聞いたこともない料理を食べて帰ったそうだ。
「何作ったの?」
「豚骨ラーメン風ハンバーグ」
なにそれ・・・?
「おいしそうに食べてた?」
「いや、ノーコメントだった」
「実験メニュー?」
「こら、人聞きの悪いことを言うんじゃありません」
でも、グリルデミはたまに実験的メニューを試作しては、モニター(?)に食べさせて反応をリサーチしているのである。僕も以前、同店の<ホルモン・ハンバーグ>という、おそらくハンバーグ史上最強の歯ごたえを誇る一品を賞味した経験がある。これはたった一度だけしか客に出されなかった幻のメニューだ。
「やっぱホルモンは素人が手を出したらダメなんだよ」とヨリエモンはしみじみ言った。
そんな料理人の反省よりも、僕は豚骨ラーメン風ハンバーグが気になってしょうがなかった。いつか作ってもらおう。
同店はハンバーグとデミグラスソースが人気のメニュー・・・と世間では通っているらしいが、それはあくまでも表向きの話。裏では他にも色々なメニューを手広く提供している。
例えば試しに「秀吉定食」と注文してみると、ひょうたん型のけったいな重箱が「へい、おまち」の掛け声とともに出てくる。

ひょうたんはその昔、豊臣秀吉の馬印だった。
しかし、よくこんな形の重箱を見つけたな・・・。
中身は秘密である。
マスターの井本順久氏には<いもいも>とか、<よりさん>とか、<ヨリエモン>とか、とにかく色々なアダ名があって、どう呼ばれても「はいよ」とええ感じの返事をする。そんな彼は自称、<織田信長研究家>だ。今はどうか知らないけど、少なくとも昔は名刺の肩書にそう書いてあった。
にも関わらず、近頃は秀吉に浮気している。
ってことだろう?この明らかな物証は・・・。
それはさて置き、ハンバーグとデミグラスソースをうりにしているこの店は、実は以前とびっきりうまいカレーライスも出していた。あまりにもおいしくて、僕は1日に2回も食べたことがあるほどだ。昼と夜の2連チャンである。
そんな風にひいきにしていたメニューなのに、ある日カレーはグリルデミのメニューからひっそりと消え去った。僕はヨリエモンに問うた。
「ねえ、カレーは?」
すると彼は「リストラした」と言った。
「何でそんなことすんだよー」
すると彼は「手間かけた割に、全然出ないんだもん」と言った。
「僕はしょっちゅう食べてるよ?」
すると彼は「うん。君と、もう一人だけ京都大学の院生が注文してくれてたんだけど、2人だけしか食べてくれないもんだからさ・・・。あれ仕込みに4時間もかかるんだよ」
「もうスタメンには戻らないの?」
すると彼は「もう戻らない」とボソッと言った。
かなり落ち込んだ。あんなにおいしいカレーをかくも簡単にリストラするなんて・・・。
「簡単にはリストラしてないよ。やつには3年間チャンスを与えたんだ。なのに結果を出さなかったから、仕方ないべ」
そんな大人の話なんか聞きたくない。
いや、自分もいい大人だけど、それでも聞きたくない。
僕はあがいた。
「ねえ、数日前から注文して500円多めに払ったら食べさせてくれる?」
「え、そこまでして食べたいの?なら似たようなやつ作ってあげるよ」
「似たようなやつ?ニセカレーかよ」
「ニセっていうか・・・カレーもどき。近い味は出せるよ」
そんな会話をしてだいたい1週間が経過した。最初は「もどきかぁ」と思っていた僕だが、その存在が空想の中でどんどん大きくなるのを止めることができなくなり、ついに負けた。
僕はヨリエモンにメールをした。
「もどき、食わして」
するとすぐに「了解」って返事が来たので、僕はグリルデミに向かった。
閉店30分前に着いた。
「今日は忙しかったよ」とヨリエモンが言った。
忙しいのはいいことだ。
思ったよりすぐにカレーもどきが出てきた。

いや、もどきすごいよ。卵もオプションでついてきた。
一口食べる。
あ、おいしい。確かにコクは劣るかもしれないけど、すごくおいしい。
「それでも40分は煮込んでる」
もどきでも、それなりに手間がかかってるんだ。素晴らしい。
そこそこ量があったのに、味が良かったのであっという間に完食してしまった。表メニューもおいしいけど、裏メニューもおいしい。
裏メニューといえば、気になる話を聞いた。もう一人のカレーの客だった京都大学の院生がこの前やって来て、開店以来の常連である僕ですら聞いたこともない料理を食べて帰ったそうだ。
「何作ったの?」
「豚骨ラーメン風ハンバーグ」
なにそれ・・・?
「おいしそうに食べてた?」
「いや、ノーコメントだった」
「実験メニュー?」
「こら、人聞きの悪いことを言うんじゃありません」
でも、グリルデミはたまに実験的メニューを試作しては、モニター(?)に食べさせて反応をリサーチしているのである。僕も以前、同店の<ホルモン・ハンバーグ>という、おそらくハンバーグ史上最強の歯ごたえを誇る一品を賞味した経験がある。これはたった一度だけしか客に出されなかった幻のメニューだ。
「やっぱホルモンは素人が手を出したらダメなんだよ」とヨリエモンはしみじみ言った。
そんな料理人の反省よりも、僕は豚骨ラーメン風ハンバーグが気になってしょうがなかった。いつか作ってもらおう。