2009年08月22日
ポツリと

「これサビサビだなぁ。走るのか?」
先輩のカクさんが、駐輪してある一台の自転車を指して笑った。確かに気の毒なほどサビサビだ。
「俺、一度チャリを撤去されたことがあるんだよ」
カクさんが言う。
「お前あるか?」
「ありますよ。何年か前、京阪三条駅にあるブックオフで買い物をしていたら、ほんの10分止めてただけなのにやられました」
そんなこと頼んでねーよ、と思わず口に出して言ってしまったのを覚えている。歩行者に気を遣って、頑張って人通りの少ないところに停めた分、余計に悔しかった。
頭くるよなー、とカクさんがだるそうに言う。
「取りに行ったのか?」
「いえ。ボロいチャリでしたし、2000円払わなきゃなんないし」
「こっちが払って欲しいよな」
「そうですね。しかも、場所も遠いですしね。電車で行っても、帰り自転車。そんなに長距離は移動したくないですよ」
小説家の森見登美彦のデビュー作、『太陽の塔』は京都を舞台にした物語である。作中には主人公が、自分の愛車(まなみ号という)が撤去されるたびに保管場所まで行き、2000円を支払って取り戻す様子が描かれているが、僕はそこまでチャリに愛着を持てない。
しかし、他人の行動によってもたらされた損失はとても腹立たしいものである。これは愛着とは関係ない。
この話題はムカつくので、何か他の話題を探そうとしていると、カクさんがポツリと言った。
「上桂って、ひらがなにすると何かヤだよな」
凄い話題の転換である。
かみかつら、か・・・。
くだらないけど、確かにそうだと思った。
Posted by Tamo at 23:04│Comments(0)
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