2009年08月04日
いもねぎ(その1)
先輩のカクさんに「お前んちで飲もう」と言われて、そういう運びとあいなった。
「俺が酒持ってくから、テキトーにつまみ作ってくれ」
てなわけで、テキトーに作ることにした。
材料が安くて、簡単にできて、ボリュームがあって、酒の肴的で、味も悪くないものって、なーんだ?
そんな問いかけから導かれる答えは、ジャガイモ、玉ネギ、ひき肉、卵なんかを使用するアテである。僕はずいぶん前に食べた、今出川にある<わびすけ>という定食屋の看板メニューである<いもねぎ>を、記憶を頼りに再現することにした。
スーパーで買い物をして帰り、ごそごそと支度をしていたら、カクさんが到着した。
「早かったっすね。いもねぎ作ろうかなって」
「いいね。いもねぎって、久々に聞いたわ。でかい玉ネギだな」
「淡路産です」
「淡路産かぁ・・・。淡路産は目にしみるんだよな・・・」
「いや、どこの玉ネギもそうですよ」
「淡路のは特にそうなんだよ」
別に自分で作るわけじゃないクセに、文句の多い人だ。
カクさんがビールとかを冷蔵庫に入れている間、僕は材料の野菜を薄めに切って、先にミンチが焼かれているフライパンに投入した。自分なりのちょっとした工夫として、カレーパウダーを使ってみることにする。これならビールにも焼酎にも合うだろう。
材料を卵でとじて、出来上がり。
「お待たせです」
寝転がってマンガを読んでいたカクさんは「うぉう」と獣のような声をあげて、料理を見た。
「いもねぎ?」
「いもねぎです」
「・・・・・・こんなんだっけ?]
「こんなんっすよ。カレーパウダーで味を少し変えてますけど」
「・・・・・・・・・・・・。まあいっか。飲むべ食うべ」
さっきの長い沈黙、なに?
「記憶を頼りに作ったんでよく分からないんですけど、こんなんだったと思いますよ?まあ、確かに不細工ですけどね」
「うん。俺も実際のいもねぎがどんなんだったか、よく思い出せないんだよなー。わびすけに行ったの、かなり前だしな。・・・・・・うん、味はイケる」
「カレー入れたら、たいていの食い物はうまくなりますよね」
「そういうもんだよな」
カクさんが玉ネギをつまみながら言う。
「なあ知ってたか。いもねぎってのは、元々晩酌のアテとして作られたらしい」
「そうなんですか?」
「さあ。俺も人から聞いたから本当かどうかは知らんけど、そういう噂」
カクさんの話には、こういう信じていいのかどうか分からない小ネタが多い。
「まあ、経済的な食いもんだよな。おかずにするもよし、酒の肴にするもよし。元々はこういうジャンクな形状だったんじゃねえか?」
しかし、飲みながら会話をしているうちに実際のいもねぎがどうだったかという議論になった。
「もっと丸かったっけ?」
「ですね。玉ネギとかの野菜も、こんなにたくさんは使ってなかったような・・・」
「ジャガイモはこんなに細くないよな」
「ええ。ジャガイモは火を通しやすくするために小さく切りました」
気になって気になってしょうがなくなった二人は、結局次の日にわびすけに行って、ホンモノを確認することにした。
「俺が酒持ってくから、テキトーにつまみ作ってくれ」
てなわけで、テキトーに作ることにした。
材料が安くて、簡単にできて、ボリュームがあって、酒の肴的で、味も悪くないものって、なーんだ?
そんな問いかけから導かれる答えは、ジャガイモ、玉ネギ、ひき肉、卵なんかを使用するアテである。僕はずいぶん前に食べた、今出川にある<わびすけ>という定食屋の看板メニューである<いもねぎ>を、記憶を頼りに再現することにした。
スーパーで買い物をして帰り、ごそごそと支度をしていたら、カクさんが到着した。
「早かったっすね。いもねぎ作ろうかなって」
「いいね。いもねぎって、久々に聞いたわ。でかい玉ネギだな」
「淡路産です」
「淡路産かぁ・・・。淡路産は目にしみるんだよな・・・」
「いや、どこの玉ネギもそうですよ」
「淡路のは特にそうなんだよ」
別に自分で作るわけじゃないクセに、文句の多い人だ。
カクさんがビールとかを冷蔵庫に入れている間、僕は材料の野菜を薄めに切って、先にミンチが焼かれているフライパンに投入した。自分なりのちょっとした工夫として、カレーパウダーを使ってみることにする。これならビールにも焼酎にも合うだろう。
材料を卵でとじて、出来上がり。
「お待たせです」
寝転がってマンガを読んでいたカクさんは「うぉう」と獣のような声をあげて、料理を見た。

「いもねぎです」
「・・・・・・こんなんだっけ?]
「こんなんっすよ。カレーパウダーで味を少し変えてますけど」
「・・・・・・・・・・・・。まあいっか。飲むべ食うべ」
さっきの長い沈黙、なに?
「記憶を頼りに作ったんでよく分からないんですけど、こんなんだったと思いますよ?まあ、確かに不細工ですけどね」
「うん。俺も実際のいもねぎがどんなんだったか、よく思い出せないんだよなー。わびすけに行ったの、かなり前だしな。・・・・・・うん、味はイケる」
「カレー入れたら、たいていの食い物はうまくなりますよね」
「そういうもんだよな」
カクさんが玉ネギをつまみながら言う。
「なあ知ってたか。いもねぎってのは、元々晩酌のアテとして作られたらしい」
「そうなんですか?」
「さあ。俺も人から聞いたから本当かどうかは知らんけど、そういう噂」
カクさんの話には、こういう信じていいのかどうか分からない小ネタが多い。
「まあ、経済的な食いもんだよな。おかずにするもよし、酒の肴にするもよし。元々はこういうジャンクな形状だったんじゃねえか?」
しかし、飲みながら会話をしているうちに実際のいもねぎがどうだったかという議論になった。
「もっと丸かったっけ?」
「ですね。玉ネギとかの野菜も、こんなにたくさんは使ってなかったような・・・」
「ジャガイモはこんなに細くないよな」
「ええ。ジャガイモは火を通しやすくするために小さく切りました」
気になって気になってしょうがなくなった二人は、結局次の日にわびすけに行って、ホンモノを確認することにした。