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2009年09月20日

アンティシェンエ

an tigh seinnse (アンティシェンエ)というスコティッシュパブの話を聞いたのは今年の1月、五条にあるシェリーバーKAOで飲んでいる時だった。フレンドリーな客たちと店員のMさんが、下鴨神社近くにある大人気の店のことを教えてくれたのだ。

「絶対好きになると思うよ」と一人の女性が言った。「お兄さん、なんかアンティ顔だし」

アンティ顔ってどんな顔だ?と思いながら、僕はそのスコティッシュパブが気になって仕方なかった。
それから、何度か入店を試みるべく様子を見に行ったものの、いつも満席状態であり、僕のささやかな試みは毎回失敗に終わった。

こういう人気店に潜り込むには開店直後を狙うのがセオリーである。1月にKAOで聞いた話では、5時には開いているとのことだった(そこで話した常連さんたちは、皆正確な開店時間を知らなかったのだ)。

最近読んだ『定番にしたい異国料理店』(小山晶之著)という、「今年の秋は読書も食欲も我慢したくない」って人にぴったりの一石二鳥的な本に、アンティシェンエは16時から26時まで(定休日は月曜)と書かれていたので、4時ちょうどに行ってみた。しかし、閉まっている。

「あれ?17時なのかな?」
一時間後、再び行ってみた。果たしてアンティシェンエは開いていた。カウンターにはすでに一人いた。

ところが入ろうとするとその人に「あ、すいません、もうちょっと遅くからなんですよ」と言われた。後でこの男性がマスターだと分かった。17時30分からだというので(今日はたまたま遅くなったらしい。マスターがだんじり祭りに行っていたからだ)、あちこちをブラブラ散歩して再度行ってみた。17時35分。カウンターにはすでに外国人の紳士がいた。

ギネスとフィッシュ&チップスを注文する。出てきたフィッシュ&チップスを見て、魚の大きさと全体的な量にテンションが上がる。

「大きいでしょ」とマスターが誇らしげに言うだけのことはある。

写真を撮ってもいいか尋ねると「どうぞ。上手に撮ってね」という返事。気さくな人である。
「味付け薄いんで、お好みで塩とビネガーをかけて下さい」


ビネガーをドバドバかけた。うまい。幸せ。

カウンターの一番奥の席に座った僕の前には、大きな合鴨ロースがあり、誘惑してくる。ウィスキーと一緒にいただく。合鴨はウキウキするほどデカイ。マッシュポテトとマスタードが一緒についてきた。

「マスタードいっぱいつけて下さい」
大きめに鴨を切って、マスタードをたっぷりつけて食べる。
「じゃあ、この塊を一気に食べちゃいます」
「うわっ、贅沢やな」
「一回これくらいをいっぺんに頬張りたかったんですよ」
バクッといく。鴨のうまみが広がった。口の中はもはや鴨川である。
「大きいのを出してるのは、ナイフを入れた時に鴨の油がジュワッと出るからなんです。その油が美味しいんですよ」
ハンバーグの肉汁みたいに出てきた油はマッシュポテトにつけると美味しいと言われた。一口食べて本当にうまかったので、僕はせっせと油を出してマッシュポテトにふりかけた。

「裏技的な食べ方なんですけど」と前置きして、マスターがさらなる美味しい食べ方を伝授してくれた。
ウィスキーをほんのちょっと(指につけて落とすよりも気持ち多め)鴨の油にたらし、その中に肉をつけて食べるやり方だ。目から鱗の技である。そんな楽しみ方もあるのか。

料理に夢中になっていると、マスターが酒に関する面白い話を始めた。原始的な酒の形態、昔の酒のアルコール度数、錬金術と酒の関係、などなど。僕より先に来ていた外国人の常連さん(宗教社会学者らしい)と3人での会話が面白くなってしまい、サザエさんのエンディングテーマが終わったら帰るつもりだったが何だか中座するのがもったいなくなってしまった。結局追加で2杯注文して(ギネスとマッカラン)9時まで楽しく贅沢に過ごした。

マスターは物知りで話が面白いし、酒とフードはうまいし、壁には吉田君(鹿の頭)が飾られているし、マッコリや焼酎もある。なるほど、1月に言われた通りだ。これは好きにならない方がおかしい。
  


Posted by Tamo at 22:42Comments(6)酒と肴