京つう

日記/くらし/一般  |京都府南部

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Posted by 京つう運営事務局 at

2009年08月24日

亜喜英の純濃厚ラーメン

昼はラーメン軍団、夜は亜喜英と、一乗寺の有名店2軒に行った贅沢な日だった。亜喜英と書いて、あきひでと読む。

以前は昼の営業もされていたのだが、最近は夜だけの営業という日もある。時々昼に様子を見に行くのだが、空振りばかりが続く。そしてふらっと夜に一乗寺に行くと、行列ができている。亜喜英とはニアミスが続いた。そのたびに「亜喜英や、ああ亜喜英や、亜喜英や」と詠んだ(一乗寺界隈にはこのような詠み方ができる店として、珍遊、高安、鶴はし、そしてゆめかたこと夢を語れがある)。

しかし、最近同店のウェブサイトを見たら、「本日の営業」というコーナーがあり、そこに営業情報が掲載されているのが分かった。常連客は僕みたいに行き当たりばったりではなく、このサイトで確かめて行っているのだな。

今日は19時からの営業とのことだったので、開店時間に間に合うように行った。およそ一年ぶりの亜喜英である。19時丁度に到着したら、すでに満席だった。想像はしていた。幸い、待っている客は僕一人である。

僕はこの店の人、気遣い、味が好きだ。気持のよい接客、周辺住民への気配り、そして妥協なしの一杯。亜喜英を見ると、ラーメン店は総合力が大切なのだなと思う。おいしくても、気分の悪くなるような接客をする店もある。僕は一度、三条のとある有名店の店員が、丸めた雑誌でバイトの男の子を殴りながら怒鳴りつけるのを見たことがある。客の前でだ。それはないだろうと思った。

亜喜英でそんなイヤな思いをしたことは一度もない(そんなに頻繁には行っていないが・・・)。客は味だけに反応するわけではなく、トータルで判断を下す。この店が開店と同時に満席になるのは、味が良いからという理由だけではないのだろうと思う。

15分ほど待って中に入れてもらえた。純濃厚ラーメンの並(650円)を注文。
しっかりとした味わいで、しかも心地よい。コッテリだが、おかわりができそうである(あくまでもコッテリ好きの僕の感想)。

ペロリと完食した。ご馳走様でした。

亜喜英のご主人はブロガーでもある。ご自身のブログには、その日あったことに加え、様々な心情が綴られている。素敵な文章を書かれる方だと思う。これからも更新を楽しみにしています。



亜喜英のウェブサイト
http://akihide.main.jp/







  


Posted by Tamo at 01:58Comments(0)ラーメン

2009年08月23日

ラーメン軍団の重厚つけ麺

ラーメン軍団のご主人である石田氏は、かつて店名と同じタイトルのラーメンサイトを運営されていた。まだ作る側ではなかった時のことである。京都中のラーメン店の情報を網羅したそのページは、僕にとってひとつのお手本だった。写真の配置からコメントのうまさに至るまで素晴らしいと思っていた。

ラーメン軍団というお店ができたという噂を聞いた時は、かなり興奮した。しかも激戦区の一乗寺。すぐ近くには天天有、新進亭、夢を語れがある。ただ、不定休ということだったので、当時他県で働いていた僕はなかなか行けずにいた。

一度、京都旅行のついでに寄ってみたのだが、残念ながら閉まっており、実際に同店のラーメンと対麺するのは後になってからだった(それでも開店された2007年からだったけど)。

今は京都に住んでいるので、サイトを通じてラーメンとの接し方について教えて下さった、ある意味で師匠的な存在のご主人のラーメンが楽しみでちょくちょくお邪魔している。僕は数ヶ月に1度くらいの客だが、開店された年から通っているので、同店のラーメンの味の変遷を知っているし、行くたびに密かに心の中で「石田さん、がんばれ」とエールを送っている。無表情だけど。

さて、それなりにラーメン軍団のことを知っていたつもりだったが、先日の昼に行ってぶたそばを食べていたら、後から入ってきた二人連れの一人がこんな注文をした。
「じゅうあつつけ麺」
一瞬箸が止まった。同店には「重厚つけ麺」というメニューがあるのだが、僕はいつも「じゅうこう」と注文していた。普通は「じゅうこう」だ。けれど食べ物屋さんの中には、ある漢字に世間の常識とは違う読み仮名をあてる店がある。もしかしてラーメン軍団もそうなのだろうか?もしそうなら、僕は今まで違う注文の仕方をしていたことになる。「ダセー。俺ダセー」とか思った。

ご主人は注文を聞いて「はーい」と応じられたので、僕はぶたそばのチャーシューをかじりながら「え?そうなの?そう読むの?」と内心焦っていた。それが2日前の話だ。

しかし今日、ラーメン軍団に行くと「じゅうこうつけ麺」と注文した客に対して、石田さんが「はい。じゅうこうつけ麺で」と応じていたので、僕は心の中で「ああ、やっぱりそうなんだ」と思いながら水を飲み、「ご注文はお決まりですか?」という問いに安心して「じゅうこうつけ麺」といえた。まあ「お客だった頃を忘れるな」を哲学とするご主人が、そんな妙ちくりんな読み方のメニューを作るわけがないのだ。

さて、重厚つけ麺は濃いダブルスープと太い麺がよく合う一品で、スープの中にはチャーシューと煮卵が入っている。濃く、深く、うまい。最後まで残さずいただいた。

割り汁はしてもらえないが、コッテリ味が好きな人は抵抗なく残ったスープを飲むことができるだろうと思う。ご馳走様でした。
  


Posted by Tamo at 15:00Comments(0)ラーメン

2009年08月18日

紫蔵

以前から紫蔵(しくら)というラーメン店が気になっていて、今日ようやく行くことができた。

叡山電鉄の茶山駅が最寄の駅。高原通りに出て少しだけ北に行くと目指す紫蔵である。水曜が定休らしいので、火曜日の今日を逃すと行くチャンスが一日遅れになってしまう。僕はあるところから頑張って歩いて行くことにした。ラーメンと健康という人生の2大テーマを追い求めると、やはり徒歩になってしまう。

ラーメン屋、というよりはお洒落な寿司屋といった趣の店である。

1時過ぎに到着。幸い並ばずに入れた。
こじんまりとした店内をのぞくと、とてもきれいに掃除が行き届いている感じで、好感が持てた。ラーメン店の中にはおいしいくても清潔さに無頓着なところがある。そのような中で、紫蔵は際立って美しい店である。


チャーシューメン(800円)を注文する。濃い豚骨味のスープの中に、標準装備のチャーシュー、ノリ、少量のネギ、そしてホウレンソウが入っていた。そして、追加分のチャーシューは別の小さなドンブリで出された。

後乗せ型とは珍しい。
観察をするのも楽しいラーメンである。「へえ、この店はノリをこういう風に配置するのか」とか。

スープの濃さ、麺の固さ、脂の多さを決めることができる。スープはいつものクセで濃い目を頼み、少し自分の好みよりもしょっぱくなってしまったが、おいしかった。次に行く時は普通にしよう。太い麺とよく合う。これは固めで正解だった。50円増しで白ネギをつければ良かったかもしれない、などと隣の人の注文を見ながら思った。

チャーシューもいい味だった。よく行くラーメン屋台のチャーシューと似ている。僕はこのタイプの焼豚が好みである。一気に全部入れずに、ドンブリの中身と相談しながら一枚ずつ投入した。

おいしく、清潔で、接客もいい。メニューはラーメン以外にはビールくらいで、余計な物がないところもかっこいいと思った。自信を持って人にすすめられるラーメン店である。



  


Posted by Tamo at 22:23Comments(0)ラーメン

2009年08月16日

男道場

大文字焼きを見た後に少し腹が減ったので、ラーメンを食べに一乗寺に向かった。

夢を語れには電気がついていたものの、営業していない様子。鶴はしは点灯看板が出ておらず、どうも休みっぽい。天天有の前には長い列がある。あきひでの前にも順番待ちの人が…。


で、あきひでから少し東に行くと、最近できた男道場という店の大きな提灯が赤く光っていた。今宵はここにしよう。

店の前のベンチには男子学生風の4人グループが座っていたが、外から見ると店内の席にはかなり空きがあるようだった。

このグループは並んでいるのだろうか?それとも既に食べ終わっていて、中にいる誰かが出てくるのを待っているのだろうか?

「お兄さん方は並んではるの?」と一番近くにいるバスケのユニフォーム風のカッコをした兄ちゃんにエセ京都弁で聞いてみた。



「はい。あ、でも一人なら行けると思います…」
「微妙だけど行けそうだよな」と別の一人も参加した。

そんな風に、親切な方々に順番を譲ってもらったのだ。えらいすんません。「お先に」と店の扉を開ける。すると店長らしいガタイのいい人が「あ、すんません、外に4人さんが待ってはるんで…」と言うので、「先に入れてもらったんです」と事情を話した。それならどうぞと、厨房に背を向けて座る席の端っこに案内された。

目の前には「初段」だとか「師範代」だとか書かれた、段位表がある。柔道の道場みたいだ。ラーメンを食べるとお札がもらえて、その枚数により段が決まるらしい。

BGMには長渕剛や気志団の歌がかかっていて、この店の目指す方向性を一層理解しやすくしていた。

色々なラーメン系のブログを読んでいたら、ここは昼間はすごく威勢のいい接客で、ラーメンが出てくるまでは水菜キムチをサービスしてくれるらしい。あと、ラーメンを食べている間に「男気注入(すりゴマ)」というイベントもあるとか。

まるである種のアトラクションのような、体験型ラーメン店だ。

チャーシュー多目のものが食べたかったので、焼豚らーめん(750)を注文した。

麺の固さ、ネギの多さ、脂の量を好みで調節できる。ネギ多目にしたら、小皿に入れて持って来てくれた。
しかし、夜だから品切だったのか、水菜キムチは出してもらえなかった。あと、基本の〈男気らーめん〉を注文しなかったためか、あるいは店の人が忙しかったからか、男気注入イベントもなかった。残念だ。

こういう〈イベント体験型ラーメン店〉で、イベントがなかったり不発に終わったりするのは今回が初めてではない。

何年か前に、丸太町知恵光院にある、めん馬鹿一代という店に行った。このラーメン屋のウリはネギラーメンである。少々危険なので、カウンターでしか食べられない。ネギたっぷりのラーメンに熱々の油をかけて、どんぶりから火柱を上げるのだ。テレビの取材もあり、人気の一品である。



しかし、その日は油が足りなかったのか、火柱どころか弱火も上がらず、ジュワ〜という音とともに煙だけがモウモウと天井に上がって消えた。

一緒に行った友人は「あれ?不発?」と言ったが、店員はさも煙しか出ないのが当たり前みたいな顔をして、そそくさと厨房に戻った。正直「それはないだろう」と思ったものだ。それでしっかりと1000円近く取られた。苦い思い出だ。

それはさて置き、男道場のラーメンは想像より遥かにアッサリしていた。つい名前から、天下一品×30くらいのコッテリ度を予想していただけに意表をつかれたが、なかなか美味しいラーメンだった。

次は昼に来て、本当の男道場的体験をしたいものだ。そういえば、お札ももらえなかった。男気が足りなかったのかな…。  


Posted by Tamo at 23:43Comments(0)ラーメン

2009年08月11日

有名人を目撃後、ラーメン屋に行く

どんよりとした空模様の方が、どちらかといえば晴れの日よりも好きなのだが、月曜日は湿度にまいった。

雨雲は「ほーら、降るぞ、降るぞ」と、まるでじらすかのようにモクモクとしていた。多分Sなんだろう。

仕方なく傘を持って出かけたが、今日は一度も世話にならなかった。

京都駅近くにあるアバンティ・ブックセンターに行ったら、エレベーターを降りたところに姜尚中氏がいた。東京大学大学院の教授で、政治学の専門家である。一般向けの本もあるし、テレビ出演も多い人なので、結構有名だ。

サイン会をしていたらしい。急いでいたので一瞬しか見なかったが、外見も声もテレビと一緒だったので、すぐに「あ。あの人だ」と分かった。




欲しかった本を購入し、地下一階にある京都百年屋というラーメン店に行った。かなり前から知っているところだが、入るのは初めてである。

白い提灯がお洒落だと思う。

メニューを見ると、セットだとかつけ麺だとか色々とあって、充実している。

見本もおいしそうに見えた。






おそらく名古屋コーチンをベースにしたものがこの店のスタンダードなのだろうけど、あえてとんこつ醤油チャーシューメン(830円)を注文した。僕はこういった無意味な「あえて」行動を取ってしまうクセがある。そしてたいてい「やめときゃ良かった」と後悔する。

以前、一乗寺にある鶴はしというラーメン屋で、チャーシューメンの大盛りを食べた。でもちょっと足りないと思い、気になっていた豚骨ラーメンを注文した。同店の鴨をベースにしたスープがあっさりしていたので、豚骨もそうなのだろうという先入観があったのだが、出てきたものは何ともしっかりしたお味だった。残さず食べて、苦しくなってしまった。

豚骨スープはコッテリに見えるが、案外あっさりしていた。マー油も味を邪魔していない。たまに焦げ臭くて変な個性を発揮している場合があるので少し心配していたのだ。

チャーシューも分厚くて、しっかりと肉を食べている気になれた。

嬉しいのはキムチの無料サービスだ。注文してから待っている間や、箸休めなんかにいい。

今回の「無意味なあえて」行動は引き分けくらいである。おいしかったのだが、食べながら「名古屋コーチン気になるなぁ・・・ああ、気になる、気になる」と思ってしまったからだ。自業自得。

体調が悪かったので、一食だけにしておこうと思っていたのだが、夜が深まるにつれ復活してしまい、腹が猛烈に減ってしまった。
「あー、チクショー、腹減ったなー」とぼやいてしまった。
僕は腹が痛くても空腹感に襲われるタイプの人間なのだが、そんな時は「痛いから我慢だ。ちょうど飲みも続いていたことだし、ダイエットだと思えばいいじゃないか」とかなんとか、前向きに考える。でも体調が良くなったら、せっかくの腹痛もどこかに行ってしまい、後にはすきっ腹だけが残った。
「そして、すきっ腹だけが残った。小説のタイトルみたいだ」とかなんとか、誤魔化そうとしたが、腹の虫は大きな声で自己主張をはじめた。蝉の大合唱の方がマシだ。
遅い時間で、もう普通の店は閉まっている。だからちょっと遠出して、北白川にあるラーメン屋のあかつきに行った。2軒目のラーメン。ハシゴ麺は久しぶりだ。あかつきは、午前3時まで営業している。ありがたい存在である。



チャーシューメンの大(750円)を注文。麺を固めにしてもらい、ネギも多めに入れてもらう。

醤油味のスープ、麺、そして具のバランスがいいラーメンだと思う。少し一味をかけてピリ辛にした。

味もいいが、この店は接客もいい。値段も良心的だ。だからちょっと遠くても行こうという気分になる。

そして食べ終わってからは「来てよかった」と思えるような店である。ずっとこんな風だと嬉しい。











  


Posted by Tamo at 07:00Comments(0)ラーメン

2009年08月08日

あじと



飲み日記の続きである。
しめのラーメンというのは魅力的な選択肢だった。久しぶりに三条のあじとに行くことにした。

のれんをくぐると、いつもの大将ではなく、違うお兄さんがいた。店員を雇ったのかなと思ったら、この人が新しい大将なのだという。「世間はめまぐるしく変化している」という大げさな言葉が、なぜか頭をよぎった。ビールを冷蔵庫から取ろうとしたら、「そっちじゃなくてこっちなんです」と違う冷蔵庫を指された。めまぐるしい変化・・・。

ここでうっかり瓶ビールを飲んでしまったので、ひどい二日酔いになってしまったのだろう。どういうわけかあじとは飲みたくなるラーメン屋だ。






普通に食べてもおいしいラーメンだが、飲んだ後もうまいラーメンである。

あじとができて、飲んだ後の楽しみが三条に増えた。ここは以前ラーメン・トップという店だった。2回ほど食べたことがある。あじとの先代ご主人がやっていた。名前を変えての営業というわけだが、いい店名だと思う。

「あじと寄らない?」
「ちょっとあじとに行ってくる」
「彼をあじとで見かけた」

何かいい響き。僕はこういうのが大好きだ。





酔った勢いで、あじとの新しい大将にお願いしてみた。

「ブログ書いてるんですけど、もしよかったら写真を撮らせてくれませんか?」

「いいですよ」と快諾してくれた。

「じゃあ、仕事をしている恰好を」と調子に乗って頼んでしまった。それがこの写真である。わざわざ鍋に向かってくれた。

変な客の変な頼みを聞いて下さり、ありがとうございました。


  


Posted by Tamo at 21:00Comments(0)ラーメン

2009年08月03日

ゆるいラーメン屋台

四条某所で営業しているラーメン屋台がある。

火曜日から土曜日の深夜零時半頃に、白い軽トラがふらっとそこにやって来る。本当にふらっと。そして大将は駐車スペースを見つけていつの間にかそこにおさまると、車からおりて黙々と提灯とテーブルと椅子を出して商売の準備を整える。

名前はない。営業時間も実は決まっていない。商売っ気もあまりない。大将は夏と冬はひたすら長い休みを取る。どんなに遅く来ても、仕事をするのは4時まで。なるべく早くおうちに帰りたいらしい。

ある時、忘れられない会話を交わした。
立ち飲み居酒屋で一杯ひっかけて帰る途中、ラーメンが食べたくなった僕は、大将の携帯に電話をした。時刻は2時過ぎ。いつもなら余裕で営業している時間だった。

「はいっ、ラーメン屋です」

いつもこんな調子で出る。屋号がないのでラーメン屋と名乗るのだ。

「あ、すみません。今から行きたいんですけど、今日は何時まで?」

以前聞いた時は、一応の営業時間は朝の4時までだと言っていた。
しかし――。

「あぁ~、あのですね、今日はお客さんがあまりおらんもんですから、もう片付けて帰る所でした」

「そうなんですか?残念だなぁ」

「あのぉ、何でしたら待ってましょうか?」

一瞬、いい所あるじゃないって思った。

「ホントですか。ああ、でも、ご面倒でしたらいいですよ」

こういうのは、日本語の礼儀として言っておくものである。

「ああ・・・そうですか・・・。・・・・・・。ええと、じゃあ今日は閉めますわ」

え?
メンドーなの?

いや、でも「らしい」。らし過ぎるぞ大将。
フラれてしまった僕は、少し落ち込みながら三条のみよしに行った。嘘が人を傷つけることはよく知られているが、正直さもまた、人を傷つける時があることを知った夜だった。

大将はそんなカンジだ。一言でいえば、ゆるいキャラなのだ。
無愛想ではないが、表情豊かなタイプでもない。普通に客の話に合わせて相槌を打ち、普通に笑って、普通に気温の話をする。彼は寒いのがニガテだ。


一人でゆっくり作るので、あまり大勢で来られると実は困っているのが分かる。表情はあまり変わらないが、常連の目には明らかだ。彼が一杯のラーメンを作る時間は、そんなに早くない(でも最近は前より少し早くなった)。もう4~5年ほどやっているので、もう少し頑張ってほしいと思う反面、「いや、それでこそ大将だ。いつまでもそのままでいてくれ」とエールなんぞを送っている自分がいる。まったくフクザツな気分にしてくれる人だ。そんな屋台に、僕は大将のキャリアとほぼ同じ時間通い続けている。



ラーメンにはチャーシュー、ネギ、もやし、メンマ、そしてナルトが入っている。古き良き中華そばといった趣で、味はあっさりしている。不思議な味だ。以前スープに使っているものを聞いたら、野菜、昆布、豚骨、鶏ガラなど、色々なものを使っていると言っていた。僕は常連なのに、今だにこのラーメンを「~ラーメン」と一言で表せないでいる。豚骨ラーメンならもっと豚骨ラーメンらしく、鶏ガラ醤油ならもっと鶏ガラ醤油らしくすればいいのにって思う。

昔は一杯500円だった。ワンコインで食べることができたのだ。ところが今は600円である。チャーシューメンは700円から800円に値上げした。けど昔から、大盛りにしても料金は変わらないところが嬉しい。




僕はいつもチャーシューメンを食べている。「うりゃっ、これでもか」と主張するくらいにドンブリを覆う豚ちゃんたちを見て、客は喜んだり嘆いたりする。

「ええなぁ、大将。これくらいやらんとな」とか「あかんわオッチャン、これ多すぎるわ。もっと少のうせい」とか、色んな反応がある。はっきり言って後者のコメントには迷惑している。胃袋に自信がなけりゃ、普通のラーメンを頼めばいいのに。

でもそんな客が多かったのだろう。ある日、大将がこんなことを言い出した。

「チャーシュー、薄くしようと思うんです・・・お客さんから言われて・・・」

じゃあ、僕はどうなるんだ?って思った。僕は薄くしろだなんて思っていない。むしろもっと分厚くても大歓迎だ。たまにしか来ない上に自分の胃のキャパをしらない客か、昔からひいきにしている常連の僕か、どっちを取るんだ?と詰め寄りたかった。生まれて初めてそんな気持になった。

そんな僕の心中を察してか、「あの・・・薄い分多めに入れとくんで」と大将は言った。出て来たラーメンを見て僕は感動した。控えめに言って、豪華だった。デラックス・チャーシューメンと名づけた。薄いチャーシューは食べやすくて、おいしかった。<おいしい厚さ>は確かに存在するらしい。




でも、いつの間にかチャーシューは元の枚数になった。
薄くしたまま。
やってくれるじゃねえか大将・・・って思った。ゆるいキャラなのに、意外としたたかだ。

でも憎めない人である。それなりに気も遣ってサービスしてくれるし、おいしいものを作ってくれる。何よりもここのラーメンは、僕にとって京都の思い出の味なのだ。


  


Posted by Tamo at 23:20Comments(0)ラーメン