撃沈と回復(回復編)

Tamo

2009年09月14日 23:30

鶴はしを出た後、僕はしばらく幽鬼のようにフラフラと東方面に向かって歩いていた。
特製冷麺特製冷麺特製冷麺・・・。

楽しみにしていたものが、ギリギリでふっと消えるこの辛さ、悔しさ。いつか読んだ行動経済学という分野の本には「人間は利益よりも損失の方を大きく受け止める」といったことが説明されていたが、よく分かる。非常によく分かる。現在進行形で身にしみている。それなりに努力を伴っていた分だけ、余計に落ち込んだ。

どこをどう歩いたか分からないが、たまたま目に入った公園のベンチに座った。

大きなため息が出た。
名作グルメ漫画である『孤独のグルメ』で、主人公が(確か回転寿司屋かどこかで)「ふう・・・、一体何だってこんな思いをしなきゃならないんだろう」というシーンがあった。あれを読んだ時は「この主人公、大げさで笑えるなぁ」と思っていたが、もはや他人事ではない。

僕は<つけ麺&和え麺サミット>期間中に、参加店の期間限定麺をなるべく多く食べたいと思っていた。中には伏見のお店もあり、残念ながら伏見に行く予定がないのでそのエリアは外さなくてはならないが、行ける範囲は全て行きたいなぁと思っていた。なのにスタートからつまずいたのである(何とも遅いスタート)。



この自分の中にうずまく怨念を静める方法を探さねばならない。
ラーメンの怨念は、ラーメンによって静めるしかない。
一体どの店が良いだろうか。
僕はしばらく悶々と考えていた。
距離、時間帯、美味さ・・・などなど、あらゆるファクターを計算に入れなくてはならない。

熟考の後、僕は意を決して立ち上がった。あそこにしよう。
足は叡山電鉄茶山駅方面に向いていた。目指すは紫蔵である。

午後1時。時間帯を考えれば、並ぶのを覚悟しなくてはならなかった。しかし、運の良いことにすぐ入れた。

前に決めたように、スープ、脂、麺の固さを「薄め、普通、固め」とテンポよく注文して、ねぎ増しをお願いした。

ラーメン並のねぎ増し(650円)。
初めて紫蔵に来た時、隣の人が注文していたのがこれだった。贅沢に盛られた白ねぎを見て、その日は普通のラーメンを食べていた僕は「次からねぎ増は欠かせないな」と思っていた。

バランスの良い大変おいしいラーメンである。
「この世に紫蔵があってよかった~」と思いながら、僕は麺をすすった。
ラーメンを食べながら、次第に気持ちが晴れていくのが分かった。自分が単純な作りで本当に助かっている。










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