2009年12月31日
我流の京都外伝
大晦日である。
そうだ、実家に帰ろう。そう思い立った。帰郷するのは丸一年ぶりである。丸一年。
一年経てば、故郷は大きく変わっているであろう。父母は年老いており、やんちゃ盛りだった妹や弟らは立派に成長し(丸刈りで玄関に出てきて、「兄上、お帰りなさいませ」というのだ)、子犬のタロ吉(芝犬)も成犬になっている。田んぼはコインパーキングになり、恩師の髪には白いものが目立つようになっていることであろう。そして、幼き日に将来を誓ったあの娘は健気にも僕を待ってくれているに違いない。ああ、故郷よ…。
しかしよく考えてみれば、父母は年齢の割には若く見えるし、体力の衰えを嘆く割にはよく食べる。どちらかといえば周りに面倒な雑用を任せるために、年齢という方便を駆使しそうなタイプである。
妹や弟はとっくに成長しており、僕が戻っても出迎えることなくコタツで尻をかきながらテレビを観ているだろう。
うちに犬なんざいない。猫ならいたが、死んだ。田んぼもない。人んちの田んぼを子供の頃、同級生に「ここうちの田んぼだから好きに使っていいよ」と自慢したことがあるのが、唯一の田んぼとの接点である。好きに使っていいよって、どう使えというのか。いやいやしかし、ガキというのはいつの時代も田んぼのクリエイティブな使用法を思い付くものだ。コンテストがあればいいのに。
故郷の恩師に髪はない。白髪があるだけもうけもんだ。それに懐かしくもない。できれば会いたくない。
そして、将来を誓ったあの娘はそんな20年以上も昔の約束なんぞ忘れて、今では2児の母であるらしい。らしいというのは、それもこれも5年ほど前に又聞きの又聞きで知ったからだ。実際に彼女と会ったのは15年ほど前だった気がする。顔も覚えていない。
ああ、故郷よ。そんなもんだ、故郷なんて。
戻りは高速バスである。電車がどうなっているかは知らないが、バスは快適だ。目だった渋滞はなく、僕の隣には誰も座っていない。荷物置き放題である。
途中のパーキングエリアで休憩も取ってくれる。僕の住んでいる部屋よりも遥かに立派なトイレがある。
缶コーヒーを買おうとしたが、なかなかいいのが見付からない。自動販売機はたくさんあるのに、目当てのコーヒーは売っていない。
ようやく伊藤園の自販でそこそこマシなやつを見付けてコインを投入するものの、100円を受け付けてくれない。
なぜ?
アサヒの自販は受け付けてくれたのに。
つーか、アサヒを捨ててまでお前のところに来たのだ伊藤園。我が100円を受け入れよ。
しばし攻防が続いたが、僕の負けである。惨敗。くそっ、自販の癖に。
100円を変えて、また入れる。
また拒否られる。
「ブッ殺すぞテメ」といってしまった。本当に久しぶりに。無機物には容赦しない。
選手交代を経てようやくゲットしたコーヒー。劇的微糖という名前だった。
これで劇的じゃなかったら、遠慮なく「燃えるゴミ」に入れてやろう。二度とリサイクルされない体にしてやるから覚悟しろ。
とか思いながら、今プルトップを開けるところである。
そうだ、実家に帰ろう。そう思い立った。帰郷するのは丸一年ぶりである。丸一年。
一年経てば、故郷は大きく変わっているであろう。父母は年老いており、やんちゃ盛りだった妹や弟らは立派に成長し(丸刈りで玄関に出てきて、「兄上、お帰りなさいませ」というのだ)、子犬のタロ吉(芝犬)も成犬になっている。田んぼはコインパーキングになり、恩師の髪には白いものが目立つようになっていることであろう。そして、幼き日に将来を誓ったあの娘は健気にも僕を待ってくれているに違いない。ああ、故郷よ…。
しかしよく考えてみれば、父母は年齢の割には若く見えるし、体力の衰えを嘆く割にはよく食べる。どちらかといえば周りに面倒な雑用を任せるために、年齢という方便を駆使しそうなタイプである。
妹や弟はとっくに成長しており、僕が戻っても出迎えることなくコタツで尻をかきながらテレビを観ているだろう。
うちに犬なんざいない。猫ならいたが、死んだ。田んぼもない。人んちの田んぼを子供の頃、同級生に「ここうちの田んぼだから好きに使っていいよ」と自慢したことがあるのが、唯一の田んぼとの接点である。好きに使っていいよって、どう使えというのか。いやいやしかし、ガキというのはいつの時代も田んぼのクリエイティブな使用法を思い付くものだ。コンテストがあればいいのに。
故郷の恩師に髪はない。白髪があるだけもうけもんだ。それに懐かしくもない。できれば会いたくない。
そして、将来を誓ったあの娘はそんな20年以上も昔の約束なんぞ忘れて、今では2児の母であるらしい。らしいというのは、それもこれも5年ほど前に又聞きの又聞きで知ったからだ。実際に彼女と会ったのは15年ほど前だった気がする。顔も覚えていない。
ああ、故郷よ。そんなもんだ、故郷なんて。
戻りは高速バスである。電車がどうなっているかは知らないが、バスは快適だ。目だった渋滞はなく、僕の隣には誰も座っていない。荷物置き放題である。
途中のパーキングエリアで休憩も取ってくれる。僕の住んでいる部屋よりも遥かに立派なトイレがある。
缶コーヒーを買おうとしたが、なかなかいいのが見付からない。自動販売機はたくさんあるのに、目当てのコーヒーは売っていない。
ようやく伊藤園の自販でそこそこマシなやつを見付けてコインを投入するものの、100円を受け付けてくれない。
なぜ?
アサヒの自販は受け付けてくれたのに。
つーか、アサヒを捨ててまでお前のところに来たのだ伊藤園。我が100円を受け入れよ。
しばし攻防が続いたが、僕の負けである。惨敗。くそっ、自販の癖に。
100円を変えて、また入れる。
また拒否られる。
「ブッ殺すぞテメ」といってしまった。本当に久しぶりに。無機物には容赦しない。
選手交代を経てようやくゲットしたコーヒー。劇的微糖という名前だった。
これで劇的じゃなかったら、遠慮なく「燃えるゴミ」に入れてやろう。二度とリサイクルされない体にしてやるから覚悟しろ。
とか思いながら、今プルトップを開けるところである。
Posted by Tamo at 18:28│Comments(0)
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